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明るく生くる

自身の日々の様子、杖言葉など。老後が明るい訳がない・・というけれど、にもかかわらず笑う、明るく生くる 時には後ろを振り返って でも前向きに


by wakosaitama
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地球は共存共貧システムだって(その3)

名乗るほどの者ではないさんへ

「有限の生態学」を読むことができましたので嬉しいです!
ありがとうございました

気ぜわしい年末に入る前に読み終わっていたものですが
レポが 今になってしまいました 

下手な感想を書くよりも と思いましたので・・・
あとがきより引用です

「今から20年以上も前、私は竹の切り株や墓地の花立のような
竹筒の中の汚水に棲む生物について、さまざまな研究をしていた。
この研究の一環として、原生動物とバクテリアの相互作用を
しらべるために、竹の煮汁をガラス瓶に入れて放置しておいた
ことがある。瓶を黒紙でおおって光を当てないでおくと、竹筒の
中と全く同じ原生動物やバクテリアが発生するが、光を当てて
おくと、そのほかにクロレラ、らんそう、ワムシがつぎつぎと
発生して、最後には安定した生物群集が形成されることに気が
ついた。こんな些細な経験がきっかけになって、研究はその後
紆余曲折しながらも現在までつづいているが、Ⅰ章の「フラスコ
の中の自然」は、これら一連の研究のうち、主に数年前までの
成果を紹介したものである。
 フラスコの中の生物群集は平衡状態に達すると、カプセルで
おおって気圏から隔離しても同じ状態を保ちつづける。このことは
フラスコの中が動物、植物、微生物からなる自給自足系になった
ことを意味する。

 さて、1960年頃、アメリカではアポロ計画に刺激されて、
宇宙ロケットにおける生命維持システムの開発が魅力的なテーマ
になっていた。「フラスコの中の自然」と宇宙船----その中に
棲む生物はちがっていても、ともに閉鎖生態系であることには
かわりがない。今から10年ほど前の滞米期間中に、こんなきっかけ
で行なった生態系合成の研究は、Ⅲ章の「宇宙基地物語」の根幹に
なっている。
 一方、1950年以降に、ルーメンの中に棲む原生動物とバクテ
リアが、ウシの生命維持に決定的な役割をはたしていることがわか
ってきた。私にとってルーメンの原生動物とバクテリアの相互作用
は、かつて竹筒の中での原生動物とバクテリアの相互作用を研究
してきたこともあって、きわめてなじみ深いテーマに思えた。
しかし私に今もってルーメンに興味をもちつづけさせているのは、
1965年から1967年にかけて、イギリスで行なったルーメン
微生物学に関する一連の研究に負うところが大きい。Ⅱ章の「ウシ
の胃の中の世界」は、この時の研究と比較的最近の研究の概要を
述べたものである。

 今これらの研究をふりかえってみると、共通したテーマとして、
いずれも境界をもった有限の生態システムにおける、生物たちの
安定と共存のしくみを志向してきたように思われる。この本の書名
を『有限の生態学』としたのは、このような背景にもとづいている。
 さて、この課題は、いうまでもなく生態学における最も基本的な
テーマであり、さらに人間を生態システムの一員に組み入れるならば、
それは有限の自然における人間の存在様式にかかわる深遠な課題とも
いえる。Ⅳ章の「安定と共存のシステム」は、このような視点に立って、
三つの研究を総括したものである。」


「有限の生態学 -安定と共存のシステム-」

栗原 康著、岩波新書(1975年)
by wakosaitama | 2011-01-15 19:01 | Comments(0)